他の35mm一眼レフに比べSony α7シリーズはフルサイズでありながらミラーレス構造で非常にコンパクトで軽く持ち運びも楽です。(手の大きい人にはちょっと小さすぎるくらいです)
大きく重くなった一眼レフに嫌気がさしてα7Ⅱを使い始めた訳ですが、肝心のレンズが大きく重いのでは困ります。特に最近のレンズはズームで明るい大口径、AFで手ぶれ補正機能内蔵、構成レンズ枚数も諸性能を高める為どんどん増える傾向にあり重量も増え大きくなっています。
広角レンズをよく使うのでSUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical Ⅲを選びました。重量は247gで手の中に入る大きさです。(小さいのでずっしりした感じではありますが)コシナから最近Eマウント用の10mm、12mm、15mmが出ていますが、クロスフォーカスアダプターを介して使うVMマウント用。クロスフォーカスアダプターがあれば他のVMマウントレンズやZEISS ZMレンズなど魅力のあるレンズがコシナにあるためです。
下の写真はHELIAR 15mmとVM-E Close Focus Adapterでこのアダプターもレンズ同様金属製で非常に作りが良く、ヘリコイドも内蔵しカメラ側レンズ側ともカッチリ装着できガタなど皆無です。ヘリコイドは4mmの繰出量があり、装着したレンズの最短撮影距離がさらに伸び、クローズアップレンズやエクステンションチューブが必要ないくらいです。
本来このVMマウントレンズはライカのMマウントと互換性があり(フォクトレンダーブランドがVM、ツアイスブランドがZMと表記しているようです)ミラーボックスを持たないレンジファインダーカメラ用なのでフランジバックを無理やり伸ばす必要がなく設計や構造に無理がなく比較的にコンパクトで軽いのが良いです。
ただしフランジバックが短いとデジタルカメラの撮像素子に対しては問題があり、特に広角系では後ろ玉(レンズ後端)がボディの中にもぐりこむように撮像面に接近します。それにより周辺光量落ちと周辺色かぶりが顕著になり、最近Eマウント用の10mm、12mm、15mmはその辺対策済みと思いますがこのSUPER WIDE-HELIAR 15mmもⅡ型からⅢ型への変更で対策されています。(裏面照射型Cモスの撮像素子を持つα7RⅡはこの問題もかなりクリアされている様です)
前置きはこのくらいで撮影した写真をご覧ください。
上の三点の写真の様にカメラを水平に構えると確かにワイドレンズであはりますが、超ワイドレンズの嫌味がなく自然に見えるのがこの15mmの良いところです。
名前のSUPER WIDEとはうまい使い方と思います。10mm F5.6はHYPER WIDE、12mm F5.6はULTRA WIDE!!
目の前に広がる広い景色を単純に撮り込みたい時や、引きのない状況で画角を稼ぎたい時がこのレンズの出番です。やや油絵的な豊かな色ノリもこのHELIARシリーズの特徴のようです。コシナの説明では開放値がF4.5でありフォーカスを2〜3メートルに合わせればほとんどパンフォーカス(手前数メートルから無限遠までOK)で行けるように書いてあるが、使い込むと確実にピント面がありしっかり狙って撮る時はシビヤなピント合わせが必要です。その点もα7Ⅱはボタンひとつで簡単にフォーカス拡大ができるので便利。
汐留のビル群の撮影はカメラを空に向けて煽っています。このように水平でなく少し煽るだけで15mmの超広角独特のパースペクティブが表現できるレンズでもあります。
またこの写真から分かるように画面の四隅に空とか微妙なグラデーションの中間色があると、まだ若干色かぶりがあります。(これはRAWで撮影して現像段階でレンズ補正を行い、さらに四隅の色かぶりも補正していますが)現像処理した画像をPhotoshopなどで色々処理をかけると四隅の色かぶりがまた少し現れてくるところを見ると、元データ四隅の周辺落ちと色かぶりがα7Ⅱではまだ完璧ではないようです。
ただ周辺落ちや多少の色かぶりは気にしない場合やあったほうが雰囲気が良い場合もあり、この辺は好みの問題でしょうか。
上の写真は山中湖の横、三国山ブナの大木でこの辺りから丹沢山系や箱根周辺は関東圏でブナ林が見られます。(人間の手が入っていない山にはまだブナが生息しているということかもしれません)この写真ではHELIAR 15mmの画面周辺の描写性能を示します。このレンズは歪みやゆがみがほとんどなく直線はまっすぐに写り建物などの撮影もこなせます。この写真もカメラは水平に構えています。このブナの木はかなりの斜面にあり斜面傾斜がわかると思います。下の写真は画面上側の右側端の部分100%切り出しです。絞りはf8で撮影、広角のため画像が斜めに引っ張られていますがかなりしっかりと解像していてピントもなくボヤボヤした感じはありません。この程度であれば十分許せる範囲と私は思います。
下の写真は、同じく三国山のブナの大木「天狗ブナ」です。10月の初め紅葉が始まったばかりの頃撮影しました。森の中であまり引きのない場所でもこのレンズは見えている全容を捉えることが可能です。超広角の独特の癖もあまり感じさせない(湾曲歪みが殆どないので)この15mmは良く使うレンズの一本です。