リーベック ALX S8 スライダー電動化

リーベックスライダー電動化

Libec ALX S8スライダーは大分以前から使用しています。国産の平和精機工業製で精度の高いしっかりした作りと独特の粘りのある8個のベアリングによってスムースに動くところが気に入っています。ALXスライダーでもゆっくり微速で、しかも一定速度でのカメラ移動は手動では限界があります。(手動では何度もやり直し、その中からまあベストをチョイスする方法でやっていました)ごく普通のカメラ移動速度から極微速でしかも一定速度でカメラ移動させるため電動化する事にしました。
カメラスライダーの電動化は他の産業機器や精密機器で動きの制御にステッピングモーターを使用する事が一般的でスライダーも同様と思いますが、ステッピングモーターだと用途に応じた制御回路が必要となるので、ノイズが出るのを覚悟で(同時録音は殆どやらないので)回転速度可変が可能で入手しやすく比較的安価なDCギヤードモータを使いトルクを確保して手っ取り早く電動化しました。DCギヤードモータは種類も多くギヤ比も色々ありトルクと定格回転速度を選ぶ必要があります。スライダーとして実際の使用時にはモーターの回転速度を可変させスライドスピードをコントロールし、停止と反転動作のため6Pトグルスイッチで対応しました。DCギヤードモータのモーター部はブラシモーターなので長期間ではブラシが摩耗します。(それ程高価なものでは無いので交換可能です)

  • カメラプラットホーム部分

下の写真はスライダープラットフォームを裏側から見たものでスライダーレールの溝空間を利用して駆動タイミングベルトを固定しました。プラットフォームには機材を取り付ける3/8W(大ネジナット)が裏側から差し込まれ金属製の丸いネジ付きの蓋で固定されています。この蓋のセンターに5mmのネジ穴を切りアルミ加工して作ったベルト固定金具を取り付けた状態です。これにより駆動ベルトやタイミングプーリーがスライダーレールの溝部分に収まりスッキリした外観に出来たと思います。なお固定5mmネジは撮影現場でコインでも締め付け出来るように溝を切りました。スライダー本体に加工を加えたのはこの5mmネジ穴のみで、他は既存に用意されているネジ穴を利用しています。Libec スライダーは数箇所にネジ穴が用意されているので使い勝手が良いです。

リーベックスライダー電動化加工

リーベックスライダー電動化パーツ

上の写真より構成パーツを紹介します。上側にあるのがアルミで作った取り付け台座に DCギヤードモータを取り付け、さらにGT2タイミングプーリー20歯を組み付けた駆動パーツ。少し離れた位置から操作出来るように約80cmの電源コードを繋げてあります。斜め下にあるのがベルトを受けるプーリー(同じく20歯)で台座プレートの固定用ネジ穴はベルトの張りを調整するため長円形に加工してあります。下側にあるのがアルミ製の取り付け金具を付けたGT2タイミングベルトです。右側のコントロール&電源部はアルミ板を折り曲げて作り木片で固定した中にトグルスィッチとPWM 速度コント ローラーを収め、その上にSIXOCTAVE NP-F シリーズ バッテリー 用 アダプターをネジ止めしたものです。さらに右側がアダプターから外したNP-F550タイプバッテリーです。

DCモーターPWMスピードコントロラー

上の写真はコントロラー&電源部の中身で左側にある6Pトグルスィッチで停止と左右移動切り替えが可能です。(スライダーが水平の場合左右で、垂直使用の場合は上下切り替え)DCモーターPWM速度コントローラーは3~35v対応、NP-Fシリーズバッテリーは7.2~7.4vなので問題なしです。PWM速度コントローラーの入力側から出ている黒いコードがSIXOCTAVE NP-F シリーズ バッテリー 用 アダプターに繫ります。

実際使用状態の話

電動化スライダー動作状態

電動化したスライダーは撮影現場で運用しています。(必要があって作った訳ですから・・・)おおよそ意図した通りに動いています。リーベックALX S8のレール長は80センチですが動作範囲は70センチになり、プラットフォームに載せる機材は雲台、カメラボディ、レンズ等含め今現在最大で約1.7Kgになります。なお電動化したのでプラットフォームに付いているフリクションツマミは緩めてフリー状態にしておきます。水平状態での70センチ移動は最大スピードで約 25秒、安定して動く最低スピードで約 3分30秒です。更にモーター回転数を落とすと不安定な動きになります。70センチを3分30秒かけての移動状態はよく見ないと動いている事が分からないくらい微速度移動です。更にギアードモーターのノイズもかなり小さくなります。

水平状態使用だけでなく斜め45度と垂直での動作も現状の搭載機材で行いました。垂直状態での上昇と下降は可能ですが荷重でスピードが変化するのでモーター回転スピードをコントロールする必要があります。ストッパーなどの機構はまだ作っていないので注意しながら使っています。(カメラ映像を注視しているとスライダー監視が出来なくなり危険でした)

今回使用したパーツの紹介

いずれもAmazonより購入したものです。
◉Hilitand DCギヤモータ 歯車モーター 低速メタルギヤモータ25mm DC 12V 25GA-370電子ロック用(12V 60rpm)¥1,253(税込)
◉KeeYees GT2 タイミングベルト 5M + GT2 タイミング プーリー 20歯 + 歯付アイドラー + タイミングベルト テンショナー + 固定用クランプ + アレンキー + M4 イモネジ 8個 3Dプリンタパーツ¥1,820
◉KKHMF 2個 5Aミニ DC モータ PWM 速度コント ローラー 20kHz 3V-35V スピード コントロール スイッチ LED 調光器 「国内配送」¥679(税込)
◉SIXOCTAVE NP-F シリーズ バッテリー 用 アダプター マウントプレート SO-F980D¥1,999(税込)

Hilitand DCギヤモータに付いては今回使用したのは60rpm(一分間で60回転)でギア比は1:200、トルクは11.8kgf.cm ですが、更に極低速運転するならギア比は1:650の5rpmもあります。トルクは15.4kgf.cmとかなりあります。KeeYees GT2 タイミングベルトはセット商品でタイミングベルトは5メーターあるので劣化したら取り替える余裕ありです。KKHMF 2個 5Aミニ DC モータ PWM 速度コント ローラーは二個セットもので二個とも動作は問題なしでした。(今回は一個しか使いませんが)SIXOCTAVE NP-F シリーズ バッテリー 用 アダプターはその種の中で比較的安いものでしたがバッテリー装着時のイルミネーターもあり、アウトプットに5V USBもあるので別途カメラ電源供給などにも使え便利です。なお、今回使用したDCギアードモーターは消費電力が小さいのかNP-F550タイプバッテリーでかなり長時間の使用が可能でした。

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