964リアスピーカーのエッジ張替え!!

1990年モデル、ポルシェ964C4、走らせている時はエンジン音とメカニカルノイズ、タイヤの接地音などで十分。そもそも昨今の車の様に静かな車内ではない。サーキット走行時はフルフェイスヘルメット着用でも走行ノイズで満たされる。ただこれは走行状態の情報でもある。長距離旅行で高速道路を行く時は、速度を上げれば上げるほど空気を切りさく音以外、いがいに静かなのもこの車の本来の持ち味かもしれない。

最近、めったに聞く事のないカーラジオ(Sony製のカセットデッキ付き、時代を感じさせるが)にiPodを繋ぎ音出しするが、後ろの方からガサガサと妙な音が出ている。自宅車庫に戻った後、リアスピーカーを外してみるとウーファーのウレタンエッジが完全に劣化、指で触るとボロボロと崩れ落ちる。無理もない30年間、下からエンジンの熱にさらされ、上からは日差しに晒されてきた訳だから。(上のアイキャッチ画像、左側が完全劣化したウレタンエッジで右側はエッジを取り去った状態)

外したリアスピーカーはBlaupunkt製の2ウエイ、ウーファー(フルレンジ?)は約10センチで小さなコイルとコンデンサーのLCネットワークを介してツィーターが繋がっている。テストで音出しするとツィーターは問題なし。ホームオーディオでもそうだが高音帯域用のツィーターはドーム型やホーン型が多く小型で素材的にも比較的劣化しにくい物が多いと思う。市販で車載用のスピーカーユニットが色々売られているので交換してしまうのが早く簡単で一般的な方法と思うが、自宅で使っているスピーカーでもエッジ張替えを経験しているので、ここはオリジナルBlaupunktのまま、外観も変えたくないのでエッジ張替作業することにした。

エッジ張替え後のBlaupunktリアスピーカー
エッジ張替え後のBlaupunktリアスピーカー

スピーカーユニット、なかでもフルレンジやウーファーは一般的にはコーン型で、素材にもよるがエッジやダンパーの経年劣化が起こるので修理やメンテナンスパーツ販売のショップがある。よく利用するのが FunTeqファンテックhttp://www.funteq.com/index.htm。今回はAR70型番のラバーエッジを二枚購入(一枚約1,500円)ウレタンタイプもあるが耐久性の高いラバーエッジで張り替えた。専用の接着ボンドと細いハケ筆は以前購入したものを使い、劣化した古いウレタンをきれいに剥がすのに細いカッターナイフがあれば問題なし。

リアスピーカーを外した車内後部
リアスピーカーを外した車内後部

上の写真はリアスピーカーを外した車内後部で中央に置いてあるスピーカーメッシュカバーは周囲が樹脂製で上から被せてあるだけなので薄いヘラもしくはマイナスドライバーを差し込み浮かせるようにしながら外した。後は四本のタッピングネジを外せばユニットごと外れるので意外と簡単。下の写真はエッジ張替えたユニットをリアに収めた状態でメッシュカバーを被せれば作業終了。

左右スピーカーユニットを取り付けた状態
左右スピーカーユニットを取り付けた状態

リアスピーカーを修理したところで気になったのは前方左右のドアに取付けられたスピーカーの状態。現状では音に問題ないと感じられるが(30年も経過しているのはリヤスピーカーと同じ)念のため状態チェックでドアの内装内張を外してみた。順序良く各所ネジを外していけば何処も破損なくはずすことが可能。昨今の車の様なチャチな樹脂製のピンではなく作業性は良い。

964のドア内張の内部状態
964のドア内張の内部状態

ドアフレーム側にマウントされているのは16センチ程のSony製コアキシャルユニット、ウファーコーン紙のエッジは布に樹脂含浸したような素材でやや劣化と硬化が感じられるが破損はしていない。フレーム周りのウレタンもまだ弾力性があった。ユニット自体を外したので軽く清掃して鉄板製のドアパネル内に厚めの梳毛フエルト貼り多少の吸音とデッドニング処理をした。外した内装パネル側にネジどめしてあるツィーターユニットはメーカー不明、小型のコーンタイプで聴感上異常なしと感じたので接続端子を磨きしっかり締めて再接続作業のみ。

一応音がまともに出るようになると気になるのが現在装備されているSony製1 DINサイズのヘッドユニット。現在は裏側にAUX端子があるので、そこにステレオミニプラグを結線して隣のグローブボックスに出しiPodを接続できるようにしたが、なにせ30年前のユニット、カセットデッキ付きでUSB接続やブルーツゥース、SDカードスロットなど今時のデバイス接続は当然の事ながら出来ない。音質そのものは決して悪くはないし、デザイン的にも比較的シンプルで964のダッシュボードにオレンジのイルミネーションカラーで違和感なく収まっている。さらにしっかりしたハンドルを上手く組み込んであり車から離れる時は盗難防止のため本体を引き抜き外せるようになっている。

1DINサイズヘッドユニット
Sony製の1DINサイズヘッドユニット

1 DINサイズのカーオーディオヘッドユニットで今時の機能を持つ機種を色々探してみたが、国産は総崩れ、まず前面のデザインが酷い状態で昨今の国産車フロントデザインの如くギラギラ、ピカピカで妙に装飾過多。964のダッシュボードでは浮き上がってしまい昔風に言えば”チンドン屋”なのだ。国内では1 DINサイズのカーオーディオヘッドユニットはもう見捨てられた存在かもしれない。海外ではまだシンプルで落ち着いた前面デザインの物があるようなので、探してみたいと思っている。

α7 Eマウントに旧Nikkorレンズ シフト&ティルトマウントアダプター

手持ちのSony α7RⅢに、これも以前から手元にあるAI Nikkorの数本を使うためにシフト&ティルトマウントアダプターを手に入れました。RAYQUALのNFG-SαEアダプターは以前から使っていて、品質性能とも満足していたが、レンズをティルトさせることでピント領域をコントロールするのが主な目的でFotodiox Pro TLT ROKR – Tilt / Shift Lens Mount Adapter  NIK(G)-SN Eを選びました。

このアダプターは左右に10mmずつ、トータル20mmのシフトと10度のティルトが可能で30度毎にクリックのある360度の回転を内蔵。GタイプのNikkorを使うための絞りコントロールの目立つ青色リング付きです。Fotodioxでは『要求の厳しいプロのための強化されたクラフトマンシップと高耐久性の構造』、『限定2年間のメーカー保証』と言っている。Fotodioxに直接オーダーして10日で届き、価格は$199.95(約¥21,000)送料込みで約¥25,000でした。

下のスライドショーは撮像面(Cモスセンサーやフィルム面、図ではグレイの垂直線)に対してレンズティルトを行なった場合、レンズの光軸線の動きを個人的にイメージして作ったもので、一般的にビューカメラ(4×5判など)ではレンズの光学的芯のあたり(絞り機構の位置あたり)を中心にしてティルトを行いますが、マウントアダプターにおけるティルトはレンズの光学的芯よりもずっと後方にズレたあたりを中心にしてティルトが行われます。(レンズ構成断面図はNikkor-H AUTO 50mm F2からの引用)

このようにマウントアダプターによるレンズティルトではレンズの中心からズレた部分を使う事になると思い、解像度や結像状態に疑問と不安がありましたが、かなり絞り込んで(f8以上)使う事もあり実際の使用では問題ないことがわかりました。(4×5判カメラなどではティルト角度が30度近くある場合があるが、このアダプターは10度までで許容範囲を読んだ設定かも知れない)

国内ではこの手のマウントアダプターはKIPONのTILT&SHIFT NIK-NEX が使われるケースが多いようだが、シフトは左右に15mm、ティルトは12度と言うことでプレートが左右に出っ張り少々大きいし、レンズを付けた状態では一体感が今ひとつと言う感じ。TLT ROKR – Tilt / Shift はシフト左右に10mmだがNikkorレンズの外径より若干太い感じもするが一体感とおさまりが良いと思う。(トップの写真参照)

下のスライドショーはカメラにマウントした状態での左右10mmずつのスライドで、ガタや緩みもなくスムースに動きます。ガイドの上にあるレバーは1mm単位でノッチがあり細かくコントロールでき、押し込んだ状態ではスッと動き、内面反射防止処理も行われています。

Zoom Nikkor 35~70mm 1:3.5

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5
Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5

このZoom-NIKKOR 35~70mm 1:3.5レンズはF3時代(1981年)に手に入れたもので最近はほとんど使うことがなかったレンズですが、その作りと性能の良さは解っていたので TLT ROKR – Tilt / Shiftアダプターと一緒に現役復帰です。35~70mmは二倍ズームでしかありませんが、特別な条件を除きほとんどがこの範囲で十分であり、アウトドアでの撮影もこの範囲で撮影していることに、このレンズを使い始めて再確認でした。

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5はどの焦点距離でも単焦点レンズにひけをとらないシャープでしっかりした描画が得られ、昨今のズームレンズのように全長が伸びたりする事なく内部でレンズ群が微妙に動き焦点距離を変化させています。70mm時のみマクロ機能があり35cmまで寄れるが70mm以下では最短撮影距離70cmは少々残念。

この35~70mmはフィルム時代のレンズなのでデジタル処理に関した種々のデータがないので歪曲収差、像面湾曲、非点収差、周辺減光など見るために35、50、70mmにて簡単なテストをしました。絞りはf11でチャートを撮影しましたが歪曲収差、像面湾曲はわずかで補正の必要はあまりないようで、優れたレンズ設計がなされています。イメージサークルテストで35mm時はギリギリの結果が出たように四隅に周辺減光が僅かにあります。下はその結果画像のスライドショーです。

35mmレンズのイメージサークルテスト

レンズをティルト&シフトして撮影する際に重要なのはそのイメージサークル(使用可能な円形の結像面のサイズ)の大きさで、中判(6×6)や大判(4×5)レンズはイメージサークル表記があるものが多いが、35mmレンズのイメージサークルは専用という事もあり基本的に公表されていない。一部TSレンズは表記あるものもあるが。(CanonのTS-Eシリーズは67.2mm、流石に高価だけのことはある)特にシフトはレンズの中心軸が大幅に移動するので余裕のあるイメージサークルが必要となる。SONYにはまだEマウントのTSレンズのラインナップがないが、NikonやCanonで焦点距離の違う三本のTSレンズを揃えたらとてつもなく高価な買い物になってしまう。(ただし、上記で書いたようにレンズ設計時にティルト&シフトの機構を組み込む構造なので光学的中心軸の位置などは考慮されものになっている)その点、35mm一眼レフの普通のレンズをティルト&シフトレンズに変換できるアダプターはコストパフォーマンス抜群ではないだろうか。

下の図は各レンズを最大絞りf22にして実際にシフトさせカメラ液晶モニターで目視で確認したおおよそのデータを元に作図したものです。真ん中のグレイの方形が36mm×24mmの所謂35mmフルサイズです。

 

Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5は約55mm時に最大のイメージサークルとなりTLT ROKR – Tilt / Shiftアダプターで最大限(左右に10mmずつ)シフト可能で(図の赤丸部分)35mm時(図の黒丸部分)はほぼギリギリでわずかなシフトでも画像のケラれが隅に発生します。その他、手持のAF NIKKOR 35mm 1:2D、AI NIKKOR 50mm 1:1.4、AF-S NIKKOR 14~24mm 1:2.8 G EDもテストし、結果がほぼつかめ何れにしても35mm用レンズは35mmフルサイズフォーマットに対して若干の余裕ある程度のイメージサークルで作られていて35mm用のレンズを使い大きくシフトする場合など、例えば建物やインテリア撮影時はAPS-Cサイズフォーマットで行うのが無理なく良い結果が出ると思います。この結果は事前にある程度予想していたので最大(左右に15mmずつ)シフト可能なKIPONのTILT&SHIFT NIK-NEXは35mm用のレンズ使用では少々オーバースペックで価格も3万円前後すること、及びカメラにレンズ共々装着したハンドリングと全体のバランスなど考慮してFotodiox Pro TLT ROKR – Tilt / Shiftアダプターの購入となった訳です。

最後に撮影した写真を紹介します。

下のスライドショー二枚の写真は長野県富士見町の入傘山、大阿原湿原で早朝に撮影、Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5使用で絞りはf8~f11、ピント煽り(ティルト)を効かせることで無理なく手前から奥まで自然にシャープな描写ができていると思います。(35mmフルサイズのレンズでは最小絞りで回析現象が起きピントが甘くなる場合が多いのでティルトを効かせてピント面を調整します)

下の写真は、同じく大阿原湿原で早朝に撮影、Zoom-NIKKOR 35~70 1:3.5使用で焦点距離は約60mm、絞りはf8でアダプターの左右シフトをフルに使い2カット撮影してつなぎパノラマとしたもので、カメラパンニングではなくレンズシフトなので違和感なく自然につながったと思います。

朝の湿原パノラマ写真
朝の湿原パノラマ

Sony α7シリーズの 電源対策

DCカプラー内部

Sony α7シリーズのカメラを使うようになってから、その電源バッテリーが通常使用で全くもたない。最初に手に入れたα7ⅡはNP-FW50リチュームバッテリーで、これは以前からSonyにあるAPS-CフォーマットのNEXシリーズ、その後のαシリーズなどに使われていたバッテリーで35mmフルサイズのミラーレス一眼となったα7シリーズの電力消費量に対しては適切な選択ではなかったようだ。
ミラーレス一眼はそれまでのデジタル一眼レフと違い、主要機能は全て電力を必要としている。さらに手ブレ補正、高速連写、AFの駆動や制御、HDや4Kのムービー撮影機能など、それらを一度機に使うわけではないが、7.2V 1020mAhのFW50では仕事で使えるレベルではない。その後α7RⅢなどが発売となった時期にNP-FZ100 7.2V 2280mAhリチュームバッテリーとなり電力の持ちはかなり改善されたが、それでも仕事で長時間にわたっての使用には心許ない状態だ。
FW50とFZ100は7.2Vの電圧は同一だが、サイズが全く違うので互換性はなくFW50を使うカメラには対応できないのも残念としか言いようがない。バッテリーを複数個用意して取り替えれば良いと思うが、その間電源が落ちることになることや、純正バッテリーはかなり高価であること、NPA-MQZ1Kと言うマルチバッテリーアダプターキットもあるがこれもまたかなりの高価(4本のNP-FZ100を積んでいてかなり大きい)・・・

外部電源3タイプ
用意した外部電源3タイプ

そんな訳で内蔵バッテリーに頼らない外部電源供給の用意が必要となる。外部電源は現在手元に3種類あり、最初はα7Ⅱ用にSony AC-PW20 AC100vを手に入れた。これはDC7.6V 2.0A出力のスイッチングACアダプターとFW-50対応のDCカプラーがセットになったものでスタジオなどAC100Vのある環境で使用する。電源部とDCカプラーはDCジャックコネクターで切り離せるように改造してある。(電源コードも含め上の写真左側)その後CASE RELAY FW50対応DCカプラー付きを入手。これはAC100Vのない野外などでモバイルバッテリーを繋ぎ長時間のカメラ使用を可能にするものでムービー撮影には必需品。CASE RELAYは本体にリチュームバッテリーを内蔵していてモバイルバッテリー交換時も電力供給が途切れることがないとしているが、この内蔵バッテリーが劣化してくると不具合が出る事があるので要注意。(上の写真右側の上)比較的最近になってAC-FZ100パワーバンクusbケーブル+NP-FZ100をAmazonから約3,900円で入手した。その第一の目的はα7RⅢの長時間使用、これはAC100vのusb電源アダプターがセットになっていてそれを使わない時はモバイルバッテリーのusbから電力供給できる仕組みになっている。(上の写真右側の下と下の写真)usbの電圧は5V程度なので7〜8ボルトに上げる回路が途中に入っている構造。ただし昇圧するためモバイルバッテリーの容量は2000mAh以上ないと不安定になる可能性あり。それはどう言う事かと言うとモバイルバッテリーのusb出力電圧は基本5vだが電流が低いことがあり、2アンペア以上の電流を必要とするようだ。同梱の説明書には推奨の対応モバイルバッテリーがいくつか紹介されていた。

NP-FZ100 DCカプラー
AC-FZ100パワーバンクusbケーブル+NP-FZ100

下の写真は電圧変換パーツのアップショットでUSB入力は5ボルトで2~4アンペア、DC出力は7.6~8.8ボルトになっている。最低でも2アンペア出力のモバイルバッテリーが必要。

3種のDCカプラー
3種のDCカプラー同一ジャックに統一

上の写真はカメラのバッテリー室に差し込むDCカプラー3種類で左からSony製FW50タイプ、中央はCASE RELAY FW50対応DCカプラー、右がAC-FZ100パワーバンク付属のFZ100対応DCカプラー、Sony製のみケーブルを途中切断して標準DCジャックコネクター(内径2.1mm 外径5.5mm センターピン+)を繋ぎ、全て同一規格にして電源供給の汎用性を確保した。(SonyだけでなくCanonやNikonもバッテリー電圧(電源電圧)はDC7〜7.5Vで電流も1.5〜2Aくらいでほぼ同じ)これでSony AC-PW20をα7RⅢでも使用可能となる。

DCカプラー内部
DCカプラー内部、内蔵チップの違い

カメラのリチュームバッテリー接続端子をよく見ると3〜4ピンあるが電力供給だけであれば2ピンでOKのはず。残量表示などデータを送るためのピンが追加されている。上のDCカプラー内部写真を参照。ソニー純正とそうでないものはチップ構造が違い、カメラ側に送るデータにも違いが出る。AC-PW20を使用時ソニー純正のDCカプラー装着ではカメラ起動時の最初から電池残量表示は表示されない。同様にCASE RELAY FW50対応DCカプラーではカメラ起動時に電池残量表示は52%と表示され、その後表示は消えカメラは継続して使える状態になる。そのように純正品でない中華製などのDCカプラーやリチューム互換バッテリーはチップ構造が違うので、たとえ電力容量がキッチリあったとしてもカメラの電池残量表示はあまり当てにしない方が良いと思う。

Sony α9 α7RⅢ α7ⅢなどNP-FZ100バッテリーを使うカメラで外部電源を検討しているのであればAC-FZ100パワーバンクusbケーブル+NP-FZ100を使うのがコストパフォーマンスは高いと思う。使い始めて3〜4年経つが不具合など無く耐久性も問題出ていない。

最近のSONY a7機種の多くはUSB-Cなどで直接外部電源(モバイルバッテリーを含む)から電力供給を行いながら撮影を続行する事が可能になっているので、このような外部電源機器も使い方によっては必要ないかも知れない。

iPhone、iPadをカメラモニターに!! Accsoon CineEye

Accsoon CineEye & Sony a7r3

知り合いの映像制作ディレクターから「良いものがある」との事でAccsoon CineEyeを使うようになりました。以前からそうですがデジタル一眼で撮影の際に写真撮影ではファインダーを主に使いますが、全体の構図を確認したり種々の設定を行う時、液晶モニターを使いますがほとんどのカメラは3インチ程度の大きさで私としてはとても小さく決して見易いとは言えません。(歳のせいもあり老眼ですから余計に)また、この液晶モニターは可動式になっていて角度調整などできますが、その可動範囲も限られカメラ本体から外す事はできず使い勝手が良いとは思えません。カメラを縦位置で構え極端なローアングルやハイアングルにした時にはファインダーも背面液晶モニター役に立たなくなります。特にムービー撮影時は5インチ以上のサイズで任意の場所に取り付け撮影画面全体をしっかり確認できる外部モニターが必須になります。

以前からSony a7シリーズを使っている事もありHDMI接続のSony CLM-V55 を使っていましたが、解像度、輝度ともに低く使い勝手は今一つと言ったところで、突然起動しなくなり修理は基盤交換で15,000円ほどかかると見積もりが出て、使用を諦めました。(CLM-FHD5と言うS-Log用Lut内蔵、解像度1920×1080の新型もありますが・・・)

仕事でムービーの撮影を行う場合、見やすいモニターは必須ですが映像シーンを複数の人間で(ディレクター、エディター、クライアントなど)共有する必要もあり、iPhne、iPad、その他モバイルデバイスは普及して所持している人も多いのでそれらを活用すれば別途モニターを用意する必要もなくAccsoon CineEyeはローコストでその環境を作り出すコンパクトで秀れたHDMIトランスミッタだと思います。

Accsoon CineEye 本体とiPhoneフォルダー
Accsoon CineEyeと自作iPhoneフルダー

Accsoon CineEye本体と自作のiPhoneフォルダーです。本体はクレジットカードとほぼ同等のサイズ90×63mmで厚みは21mm、バッテリー内蔵で175g、5G WiFiで電波到達距離は100メートル(障害物なしメーカーの表記)4台のデバイスで同時モニタリング可能としています。HDMI入力は1080p/720p/480p及び60~23.9fpsと言ったスペックです。バッテリーの持ちは3.5時間で表面にある4個のLEDで残量表示し側面にあるUSBタイプCポートから充電、給電します。(USB-C/Aの充電ケーブル、HDMIケーブル3タイプは本体に付属)WiFi接続で問題となる映像転送の遅延ですが60ミリ秒(メーカーの表記)と僅かでムービー撮影でも今のところ問題なしで使っています。Accsoon CineEye本体はAmazonから26,800円で購入、カメラシューマウント用Soonwellのミニボールヘッドは”ギフト”で付いてきたものです。自作のiPhoneフォルダーはAmazonから購入した「2WAYスマートフォン・iPhone携帯ホルダー」一個397円を2mm厚のアルミ板に二箇所穴を開けCineEye本体と一緒にカメラマウント可能にした物です。

最近AccsoonからCineEye Airという更に小型で軽量なモデルが発売されています。バッテリーが内蔵されていないのでUSBタイプCで外部給電仕様、3台のデバイスで同時モニタリング可能と発表されていて100gをきる軽さで価格も15,000円程度ですからプライベートでの使用などはCineEye Airで十分かなと思います。

Accsoon アプリ

上の写真はAccsoonのアプリインストールApp Storeの画面です。(Google PlayでもOK)このアプリをスマホなど各デバイスにインストールしてからCineEye本体の左側面にある電源ボタンを入れます。表面にあるA文字のようなイルミネーターが赤に変われば電波発信しています。次にスマホなど各デバイスのWiFi設定からCineEyeのWiFiに切り替えます。最初はパスワードを要求されるので12345678と入力すれば繋がります。その後Accsoonのアプリを立ち上げ、上の写真の下の欄にあるようにCineEyeのページヘスワイプして進み画面下のボタンをタップしてMonitorを選びスタートします。(デバイスにより表示が少し違うかも知れませんが・・・)Accsoonではジンバルなどの商品もありこのアプリはそれらのコントロールにも対応しているようです。

CineEye 各種設定画面

最後にCineEyeモニター設定画面に付いて。撮影時に邪魔であればモニター中央をタップすればこの設定パネルは消えます。またこのパネルは主にムービー用設定なのでスチール撮影時に必要なものはFocus、Histogram位でしょうか。また映像制作に携わっている方には今更の感ありますが、少々説明します。

Waveform・映像は、輝度と色でその表現を行います。この二つをグラフで数値化し、波形として可視化したものが「ウェーブフォーム」です。白が飛びすぎていないか、黒がつぶれすぎていないか、等を判断するときに使います。

Gray・これはその名の通り彩度無しのグレイスケール表示用です。

RGB・これはRGBの各チャンネルを個別に表示する時に使います。

Focus・これはフォーカスピーキングで色とそのレベルを変更可能です。この機能はカメラにも内蔵されているものも多いのでご存知と思います。ピント合わせ用です。

False・これはフォールスカラーでモニター画面内の輝度を色に変換して表したもので画面左サイドに表示されているカラーバーに対応していて、主に露出をコントロールする時に使います。

Zebra・設定した輝度レベルの部分をゼブラパターンで表示する機能です。明るさ調整の目安に使用します。狙った被写体がどれくらいの明るさで写るのかをゼブラ機能の設定を使って確認します。白とびを防いで撮影したい場合有効な機能です。

Lut・“Look Up Table”は、あるカラースペースから別のカラースペースへの変換に用いられ、カスタムLUTは好みのルックでプレビューしたり、撮影現場でカメラモニター用に直接グレーディングするのに用いられるもので、SonyのS-logなどで収録中はそのままモニターすると非常に眠く薄いグレイのような見え方になりLutを当て見え方を補正しモニタリングします。Accsoonのアプリ初期バージョンではLut項目に何も入っていない(後から自身で読み込んで入れる)状態で最新バージョンにはCanon Log2、Fujifilm F-Log、Sony SLog3三種いずれも709相当のLutファイルが既に内蔵されているので最新バージョンをインストールすることをお勧めします。

More・一番右にあるMoreボタンはまさにモアでタップすると画面上右側にオーバーレイで種々の詳細設定画面が現れます。部分拡大など有用な機能や設定が数多く詰まっています。画面タップで出たり消えたりするので便利です。

このAccsoon CineEyeを使い始めてまだ日が浅いのでその耐久性や内蔵バッテリーの劣化の程度はわかりません。バッテリーの持ちはもう少し増やし5時間程度行けると良いのですが、小型化で難しい部分かも知れません。(長時間に及ぶ場合は給電しながら使っています)iPhoneとiPadで使いますが、iPhoneの場合表示画面はカメラ液晶より大きいですが設定画面が邪魔になるので必要な時にだけ表示させています。また、電波の到達距離は100mと言うことですが、これもテストしていないので・・・20〜30mは全く問題ないです。本体は電波発信機なので動作中は多少温度が上がります。野外で日中使用するときはデバイス側の輝度調整で輝度を上げたり、簡単な遮光フードがあると便利だと思います。


カメラの外部モニターを検討中で、スマホやモバイルデバイスを既にお持ちであれば、このAccsoon CineEyeを導入するのがローコストで良い結果が可能と思い記事を書きました。1Kmも届くHDMI/SDIトランスミッタも業務用機器として種々ありますが高価で本体も大きく(アンテナも含めて)バッテリーも別途必要で・・・。このAccsoon CineEye、中華製という部分が若干気になりますが、撮影時に使う種々の機材で最近比較的ローコストで使い勝手が良く考えられていて品質も悪くない物が深圳あたりから多く出てきています。発想とか着眼点が新しく良いのではないかと思います。ワールドワイドの環境で物創りや発想が古く観念的で、今一つ寂しい日本国内の企業が大いに気になる昨今です。

Leipzig Hauptbahnhof ライプツィヒ中央駅

ドイツのライプツィヒ中央駅を再び訪れました。以前に来た時にその佇まいがとても印象的でした。ヨ-ロッパでは、列車が行き止まりになる構造の駅(頭端式駅)がまだ多く存在します。ライプツィヒ中央駅はその頭端式駅の中ではヨーロッパ最大と言われています。日本では昔の上野駅が同様の成り立ちで、旅に出るとき、また旅から戻るときこの頭端式鉄道駅は旅情と言うか、その感覚がとても印象的です。

資料によると1909年に建設を開始して1915年に開業と言いますから105年前から今に続く訳で、多くのヨーロッパの中央駅が戦火で消失した中でライプツィヒ中央駅は建設当初の素晴らしい造りを今に伝えてくれます。

No,2 Leipzig Hauptbahnhof 1912.9

上の写真は右端のプラットホームで昔の蒸気機関車や客車が展示され、横には駐車場まで併設されています。見事な鉄骨構造の骨組みと板張りの天井、磨き込まれたホームの床が魅力的です。プラットホームには誰でも自由に出入りできます。駅のプラットホームは列車に乗り降りする人のためだけにあるのではなく送り迎えの人達も利用します。以前シュツッガルトの駅で(ここも頭端式駅)バラの一凛を後ろ手に持った若者を発見しました。到着した列車から降りた女性に手渡し抱擁していました。印象に残るシーンでしたが、駅の施設は誰でも自由に出入りできる必要があると思います。

No,3 Leipzig Hauptbahnhof 1912.9

上の写真は左端の工事中のプラットホームから横方向に構内を撮影したもので、現代の建築には無いアーチ状の複雑な鉄骨構造と板張りの天井が美しく見えました。

 

No,4 Leipzig Hauptbahnhof 2019.10

No,5 Leipzig Hauptbahnhof 2019.10

上の写真二点は最初の写真のエントランスホールから続くプラットホーム手前の広い通路?です。石貼りの大きなアーチが印象的です。地下に続く二層のショッピングモールは後に改築して作られたもので、こちらに降りると時間軸が急に現代と言う感じで面白いです。

No,6 Leipzig Hauptbahnhof 2019.10

上の写真は線路側から駅建物を見たところです。まだ全体が画角に入っていませんが(これで半分くらい)飛行機の格納庫ようなアーチ構造とその広さ、大きさが見えると思います。

ライプツィヒ中央駅は正面の建物自体も魅力があり、また昔ながらの待合室も良い雰囲気なので機会があればまた訪れて撮影したいと思うところです。

写真No,1、No,4~No,6はα7R3/Super Wide-Heliar 15mm、写真No,2、No,3はNikonD800E/24mm(ズーム)での撮影です。