SONY α7ⅡでCOSINAのHELIAR 40mm F2.8を使っています。この一風変わったレンズをレポートします。
このレンズを手に入れたきっかけは当ブログでも紹介していますが、HELIAR 15mmを使うために購入したVM-E Close Focus Adapterが手元にあったので、ヘリコイドもなくレンズ構成に絞りだけ付け沈胴式を採用し(非常にコンパクトに収まります)単体では価格もこなれているので購入しました。上の写真は撮影状態に沈胴式を引き出した状態ですが、45度くらい回転させロックを外して押し込み収納するとレンズ先端はカメラグリップより若干でっぱる程度でパンケーキレンズ同様です。
Sony α7シリーズが発売されてから引き伸ばしレンズを撮影レンズとして使う話題が出てくるようになりました。そのせいでもう使われる事なくしまい込まれた古い引き伸ばしレンズがネットオークションなどに出て来て少しずつ値上がりしたりしています。
Sony α7シリーズは35mmフルサイズでミラーレス構造の為フランジバックが18mmしかないので純正レンズ以外でも使用可能な(アダプターなど使い)レンズが多くあります。Sonyもその事はよく分かっているようで他社製のレンズや古いレンズもうまく使い回しできるよう配慮されています。
そんな訳で話題に触発され、もう使わなくなった暗室の棚に眠る数本の引き伸ばしレンズから35mmで一般的に標準レンズと言われる50mm、FUJINON-EP 1:3.5/50を常用レンズの一本に加えることにしました。
まず、手始めはFUJINON-EP 1:3.5/50のオーバーホールです。ずいぶん長い間使わなかったのでカビや埃、レンズ面の曇りなど取り除き、幸いにもこのレンズは貼り合わせのバルサム切れがなかったのでバルサム剥がしは必要なく再組み立てしました。次はこのレンズのフランジバック焦点距離51.6mmを確認、ヘリコイドユニットの厚みや繰り出し量などのめどをつけました。
Sony α7Ⅱの使用をベースにビューカメラを自作しました。特別な工作機械が手元にあるわけでもなく、精度は実用に耐える物にしたかった為、手元にある既存のパーツを流用することから始めました。友人から譲り受けたNikonの接写ベローズPB-6の不要部分をカットしてカメラのベースとし、フロントはリンフォフマスターテヒニカ(最近は殆ど使うことないので)のフロント部分を流用、リアのスタンダードとカメラマウントはアルミ材の自作。
「蛇腹」これが難問。短いフランジバックの中で自在に動く柔らかさと完璧な遮光性が必要で2mm厚のネオプレン素材の袋蛇腹をハンドメイド。出来るだけ多くの手持ちレンズに対応するように大小二個製作、マグネット脱着方式です。
ビューカメラ製作の意図
カメラがデジタル化される以前、仕事で使うカメラは主に4×5インチ(一般的に言うシノゴ)や8×10インチ(エイトバイテン)等が多く、画質よりも機動力優先の場合に6×6(ハッセル)や35mmカメラを使っていました。
初期のデジタル一眼の画素数や画質が仕事に使うには満足出来るものではなかったが、数世代過ぎた現在のものは飛躍的に画素数も増えダイナミックレンジも拡大し、もはや昔の大判カメラの領域を超える描画性能を持っていると思いますしさらに高性能化が進むでしょう。
しかし、デジタル一眼カメラは、フィルム時代の基本構造を引き継ぎつつ発展したので、そのシステム構成の中で普通に使用するにはなんの問題もないけれど、レンズやボディの汎用性(色々な使い回し)がほとんど無く、高性能化の中でレンズもボディも大きく重い物へ変化してきました。
Sony α7シリーズはミラーレスのためレンズマウント面から撮像素子までのフランジバックが18mmしかなく、Eマウントレンズのみでなく種々レンズが使用可能と汎用性が高く、その小型で薄いボディはデジタルバックタイプに近い構造で、これまた汎用性の高いボディだと思います。
Sony Eマウント用のシフト、ティルトマウントアダプターもありますが、種々のレンズに対して互換性が無く、ボディ側固定でレンズを動かすタイプが多く、これではビューカメラの機能の半分しかないことになる。
Sony α7Ⅱを入手したので、(現在はα7rⅣ使用)その小型で薄いボディを利用して、接写はもとより、スィング、ティルト、シフト等可能なスタジオ内使用だけでなく屋外にも持ち出せ、4×5インチ用や6×6(ハッセル)用の手持ちのレンズ使える小型ビューカメラを自作しました。
動作説明カット
下の7枚のスライドショーはMamiya-Sekor C 35mm N 645レンズ装着、無限遠にフォーカスした状態で各動きを示しています。動かせる範囲はレンズのイメージサークル内に限定されますが・・・(なおこのスライドショーは改良前のビューカメラで撮影したものです)